歴史から学ぶ[プライベートブランド]の作り方

英雄・偉人のブランディング秘策

例えば、坂本龍馬のような事業家になれる方法?!


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 [日記・コラム・つぶやき]
 ブランディングは持ち物で決まる!
[坂本竜馬の場合 Vol.2]

Branding is decided by the property.
[A case of Ryouma Sakamoto Vol.2]

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ryouma02

先日のつづき。
「持ち物」から分かる坂本竜馬という人物のブランドについて検証している。

彼の持ち物観を示すエピソードから3つのブランドコンセプトが見て取れる。

1つ、不殺

2つ、目的重点主義

さて、今日は3つ目の政略眼である。

彼の政略眼については、当時の倒幕派志士の活動内容や思想をつぶさに見てみないと、その凄さを理解することはできない。そこで、幕末を代表する志士グループ、幕府機関、思想家などのイデオロギーや活動理念をポジションマッピングしてみた。それを基本に竜馬の政略眼について見てみよう!

posimap_bakumatsu01

精密に分析すればもっと細かいマップになるのだが、ここでは坂本竜馬の政略眼について論じる事が目的なので、かなり大ざっぱなマップである。

縦軸に「開国主義」「攘夷(鎖国維持)主義」をとり、横軸に「佐幕主義」「倒幕主義」をとった。幕末史における思潮変遷はとても頻繁で複雑である。1年単位で、いや数ヶ月単位のマップを作らないと幕末思想史を正確に把握する事はできないが、歴史学の詮索を目的としない本講座では、この概括的な1枚のマップで考え進めていく。

マップが示すように、いわゆる倒幕派の志士たちは、元々、攘夷思想家であった。薩摩系も長州系も、そして坂本竜馬が属する土佐系の志士も、いわゆる志士といわれた若者たちは、すべて「夷(えびす)を攘(うちはら)え!」という考え方であった。子どものように純粋な神州思想から出た排斥運動である。いわば宗教的な観念論で政治思想を織りなしているのである。従って、外国の武力の脅威に屈して、条約を結んだ幕府を批判した。当初は、宗教論から出た侮幕運動(幕府を侮蔑する運動)であった。ところが、井伊直弼による安政の大獄、新撰組ら幕府機関による志士の弾圧などもあって、狂信的な感情論を伴って侮蔑運動が討幕運動へと変質していく。その間、薩摩藩は英国艦隊との戦いに敗れたことで攘夷思想の愚を悟って欧米の文明力を認め、その薩摩との親交を深め始めた長州も高杉晋作ら急進派の改革主義者の手によって西洋式の近代軍隊を持つに至る。幕府が犯罪者の捕縛・処刑に必死になっている間、宗教的観念論を隠れ蓑にして薩長は急激に西洋化していき、倒幕に必要な物理的・経済的・人的な武力を蓄えていったのである。

坂本竜馬も、当初は犬猿の仲であった薩長の同盟を仲介したり、長崎の亀山の地に武器販売と交易をなりわいとする日本初となる株式会社を設立している。

彼の事歴・業績を編年風に思い起こすと、坂本竜馬はやはり倒幕派志士の巨魁であったと認識されざるをえない。事実、彼と親交のあった一部の知識人を除いて、ほとんどの幕府首脳は彼をそのように見ていたし、京都見廻組の佐々木只三郎に坂本の暗殺を指示したのも当然と言えば当然である。しかし、一方で、今でも竜馬暗殺の黒幕は薩摩か長州かと取り沙汰されるのは、彼の思想・行動が「幕府側か倒幕側か」と一筋縄で説明できない点であり、こういったどっちつかずの誤解を受けるのは、幕末志士中、彼一人である。きわめて「個独な存在」であったと言える。誰も思いつかないことを考え、行動に移す。個独は孤独でもある。だから、私は彼こそ幕末史における最大のブランド人であったと思うのだ。


[用語解説:個独とは]--------------------------------------
「個性的」「独自的」「独尊的」からとった私の造語である。セルフブランディングの目的の最高峰は「オンリーワンの独自性を作ること」である。例えば、68,000人いるとされる税理士の業界で、「オンリーワンの税理士になる」ということは、「1/68,000になること」と理解しがちである。しかし、税理士業界という業界定義や業界と他業界とを線引きしてきた枠組みがほころび始めている昨今、「その業界でオンリーワンになる」という目的そのものに無理がある。そこで、誰とも一切かぶらない「個性的」で「独自的」「独尊的」な業態概念そのものをクリエイトして、その業界の唯一絶対の主(あるじ)になることを目的とすべきである。そうすれば、自然とオンリーワンであろうし、それまで類似していると思われてきたライバルとの差別化もできているはずである。これを「個独化」と呼び、これを実現している人のことを、敬意を込めて「個独なひと」と私は呼ぶ。
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さて、右か左か、善か悪か。そういった二元論で彼をとらえることは非常に難しい。幕末史を「過ぎしこと」として認識できる我々でさえ難しいのである。彼と同じ時代を生きた人々はさらに困惑したことであろう。

上記のポジショニングマップもそういった二元論を2つ組み合わせた4つの指標によって構成されているが、ここにZ軸を加えて三次元的にとらえなおす事によって、彼の特異性・ブランドコアがより鮮明に理解できる。

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「視野が国家政略的か、自家保存的か」というZ軸を与えることによって、先ほどの二次元的なマップを三次元で理解することができる。

例えば、小栗忠順などを代表とする幕閣首脳陣の視野は、あくまで「幕府の保全」である。その視野で、彼らは各種戦略を立てている。その点、幕府とは敵対する立場である薩長系志士も、それぞれが属する藩の武力を背景にしており、徳川幕府瓦解のあかつきには薩長による天下号令を目論んでいた。つまり、あくまで自家保全の視野からは脱却していない。

その点、坂本竜馬だけが違う。竜馬に薫陶を与えた横井小楠と勝海舟はそもそも言うに及ばず。両者とも、幕府の重職にあって、倒幕派にも示唆を与え、幕府内でもその他の固陋頑迷な自家保全主義者を説いてまわっている。その主張は、あくまで「欧米列強に負けない経済大国・文化大国・文明大国、日本」の創造であり、欧米列強に蚕食されてしまっているアジア諸国を応援するためにアジアに共栄圏を作って欧米列強をはじき返そう! という壮大なものである。その為には一時的に開国して欧米の文明を盗み取ろうという開国論を唱える。つまり、「長期的・将来的・アジア国際的な攘夷実行のための、一時的・短期的・打算的・方便的な開国主義」を唱えたのである。この主張を、志士・活動家・事業家としてカタチに表したのが竜馬である。

彼の古巣である土佐勤王党をはじめ薩長系の志士のうち、彼のような政略眼を持っていた人物はいないとされている。わずかに共通点を求めるとすれば、彼と一緒に凶刃に倒れた中岡慎太郎のみであろう。(それでも、竜馬のような世界主義的、近代民主主義的、ボーダレスな感覚は持てなかったようだ。死ぬ間際まで、「戦の一字あるのみ!」と幕府の武力討伐を主唱する薩摩と思いを一つにしていたようだ。その点が竜馬との決定的な違いである)

こうやって三次元的に見てみると、あの当時活躍していた志士のなかで坂本竜馬のみが、大局的な政略眼を有していたと言える。このことは二次元的な指標では読み解けないのである。

つまり、誰も思いつかないようなことを考え・実行した英雄のブランドコアを理解するには、やはり同じように、誰にも見つけることができないような「隠された指標」を発見するしかないのである。

このことから自分が歴史に名を残す英雄になるための方法が、また導き出されるのである。

常識的な指標による二次元的理解のなかでは「個独」である必要はない。二次元以上の多次元的な指標のなかで飛び抜けた個性を有していれば良いのである。

以下余談。

上記の三次元マップのなかで、幕府総帥の地位にある15代将軍・徳川慶喜のみ一種独特の位置にある。幕府保全のために全身全霊を傾けても良いはずの人物なのだが、自分の家臣である閣僚たちよりも「国家政略的な視野」が強い。右にわずかしか傾いていないということは、左への傾斜のせいである。それはこのように説明できる。

彼は将軍ながら、みずから政権を朝廷に返還し、将軍の称号を名乗るのをやめ、徳川家という一大名の地位に落ちることを選んだ。情勢はどのようになっているのか、全体のために何を犠牲にするべきかということを大局的に判断したのである。だから、徳川慶喜が大政奉還を決断したというニュースを聞いて、竜馬は「よくも断じ給えるものかな!」と感涙を流したのである。竜馬にすれば、「大政奉還を企画した自分と、それを採択した徳川慶喜こそが、天下の英雄たりうる!」という武者震い、そして歴史的瞬間の創造主たりえたことへの充足感、無辜の民を戦乱に巻き込むことを未然に防げた事への安堵感・・・。色々な感情が余っての涙だったろう。「政略的な見地に立って、日本国家全体のことを憂いているのは、このオレと徳川さんだけだ!」という気持ちの表れだったのだろう。

追記:今日ここで論じることができなかった新撰組や吉田松陰、そして勝海舟や薩長系の各志士のブランドコアについては近いうちにまた取り上げる事にします。

つねに自分の事業を多次元的に見直すことじゃ!

金儲け。名声・・・。確かに、そういったことも物事を成すには大きな力となる。ワシとて、例外じゃないわい! お金や名声に対するハングリーさは、成功には必要不可欠じゃ。ただし、じゃ。短期的成功には不可欠というだけのこと、じゃ。

長期的成功・・・。例えば、そう、歴史に名を残したい、子々孫々にまで自分の価値観を伝えたい、教育のあり方に一石を投じたい、戦争のない世の中にしたい・・・。そういった気宇壮大な志を持った「真の志士」は短期的成功そのものには目もくれないものじゃ。しかし、長期的成功への「やむにやまれぬ想い(志)」があるからこそ、その途上にある短期的目標を達成できてしまうのじゃ。そのことを志士は知っておる。だから、求めずとも自然と金も儲かり、名声も得られるのじゃ。竜馬が死ぬまで金に困らなかったのは、富豪の次男坊として生まれたからではない。他の誰もが持たないような大志を持ち、それを人生というキャンバスの上で明確に表現しきったからじゃ!

う~ん、今日は少しリキがはいってしもうたかの~

■今日の講義に関連するブログ■
坂本竜馬の時勢観
坂本竜馬の下で仕事がしたい。

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コメント

maze太郎さん。コメントありがとうございました。maze太郎さんも竜馬好きですか?

投稿者: AUB講義助手・増井雄一郎 (2005/05/17 23:11:28)

あの図がいいですねー。感服いたしました。

投稿者: maze太郎 (2005/05/17 21:46:22)

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