はじめに(2)
歴史は家庭で学ぶが良いみたい
[1:理論編]
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私に歴史という「道」を教えてくれたのは家庭である。公認会計士の資格を取った父は会計事務所とコンピュータシステム開発会社を設立した。様々な局面で自己と対峙することで、財務会計に関する知識・見識がどんなに高かろうとも、「経営者としての資質は知識・技能とは別である」と痛感した父は、歴史・精神世界に関心を持つようになった。そんなおり、家庭ではようやく文字を読めるようになった私が、本に関心を持つようになった。最初はひらがなばかりの偉人伝。両親が毎週欠かさず観ている大河ドラマ。父と母の間で繰り広げられる祖先自慢。江戸時代、百姓の子がヒゲを生やした漢学の先生に額づいて論語を覚えた、いわゆる「寺子屋」のように、私にとって自分の家は「学び舎(や)」そのものだった。父親がいないときは、父の書斎の椅子にちょこんと座って史記などを読んだものである。但し、何が書かれてあるのか、その当時の私はまったく理解していない。ただ活字というものに慣れ親しんだ。
だから、学校で教わる歴史は「薄皮の表面に過ぎない」という意識が中学生の頃に芽生えた。歴史の教科書は私にとって、新聞のテレビ欄のようなものに過ぎなかった。ただのメニュー表である。
年表・人名・事件名・地名といった記号だけを教わるだけで、その記号の関係性や記号が意味するところを教えてくれない形骸的な教育は、子どもに学問から遠ざからせる最も有効な手段であろう。事実、戦後日本の教育が日本人を骨抜きにした。そのことはもっともっと語られて良いし、政治家・教育者のみならず、企業家も意識すべきであろう。
我々一人ひとりが、「自分がいま、ここにいる意味・目的」を探ることに一所懸命になりさえすれば、他国の愚民化政策に屈することはないだろうし、歴史を記号学としてではなく、真の人間学問として学び取る力が養われるだろう。
その点、現代の日本はひどい。まさに世紀末である。精神が荒廃したカオスの時代である。
経営者になることと歴史を学ぶことの関係性を読みとれなかった私のクラスメート。彼が14,5年前の学生の一般的な意識だろう。また、いま30歳代のビジネスマンの多くは、あの程度の歴史意識しか持っていないだろう。そして、その次の世代。30歳代の次の子どもの世代。その子らが成長したとき、日本はどうなるのだろう。
と、そんな先のことを危惧せずとも、現代の中高生。彼らの意識はどうだろう?
「経営者になることと歴史を学ぶことの関係性」どころの話ではない。記号学とはいえ現代の教育にもメリットはある。記号学でも語彙力・概念咀嚼力をつけるには充分である。その記号学ですら受け付けない現代の若者たち。そして彼らに合わせようとする国のゆとり教育。就職する意味や、家庭を形成する意味や、友人を大切にする意味や、自分自身が生きる意味や、他人と共生する意味や、色んな価値観が壊れてきている現代。
もうすでに、「歴史は大切だ」といった話が彼らの心に届くレベルではないのだ。すでに愚民化は完了していると言っても良いだろう。そう絶望せざるをえない様相を呈している。
これを何とかすることはできないのだろうか?
「だから、小泉さんには期待している!」
「いやいや、民主党だろう!」
政治ももちろん大切だ。無関心ではいられない。
しかし、われわれは政治家に期待し評論し非難するだけで良いのだろうか?
ドングリの背比べに一所懸命な数百人の代議士と、自分の老後の生活だけが関心事の数万?人の公務員。
それよりももっと多く、大きな影響力を持ち、国の行く末を左右する力を持っているのは、「事業家」や「経営者」だろう。上場企業のCEOから個人事業主まで、いわゆる「商売人」こそが、日本の舵取りをしていかないといけないのではないのだろうか?
いま日本のビジネス社会は、「金儲け主義バンザイ」「拝金至上主義」「セレブバブル」に陥っている。
「術」ばかりが尊ばれて、「道」がない。
「術」ばかり肥えた起業家がどんなに増えようとも、何の意味もない。マスコミを少しにぎわすだけの効果しかない。日本の未来が明るくなるわけではない。
「歴史」が最も「道」というものに深く関わっており、「道」というものが「商売人」を育てるということ、つまりは国を富まして(精神的に、そしてその結果、経済的に!)、次の世代を育てていく王道であるということ。
私は若輩で能なしだが、それを信じる情熱だけは人一倍と自負している。
ただそれだけの自負を根拠として、歴史とマーケティングの関係性を経営者をはじめビジネス社会の方々にお伝えする活動を始めた、という次第である。
(つづく)
次回予告: 「英雄ブランディングの目的」
3,4日中にお届けします。
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