阪本啓一先生との出逢いから(2)
「つながっている感」がマーケティングの基礎 Vol.1
[4:現代編]
阪本啓一先生との出逢いから(2)
「つながっている感」がマーケティングの基礎 Vol.1
[4:現代編]
●「つながっている感」がマーケティングの基礎
1.すべてが分断している。
ホームページは閉じてしまったが、2003年4月から、メールマガジンを発行しはじめた。私は、マーケティング発想の源は「あらゆる現象、森羅万象はすべてつながっている」という感性が基礎だと考えている。これを私は、「つながっている感」とか、「情報源不差別主義」などと呼んでおり、メールマガジンで自分の体験した出来事を題材にしながら述べている。
世の中には、何でも物事を分断して捉える人が多い。
例えば、私の高校時代のクラスメートは、「経営者に歴史の勉強は必要ない」と言った。私が文学部史学科を志望していると言ったら、「お勉強が好きだね~」と言った。
また例えば、ある経営者は部下が漫画を読んでいるのを見て、その部下を解雇した。その漫画から何をどう学んだのかを聞く前に、漫画を読んでいたという一事を以て解雇した。
また例えば、ある著名なコンサルタントは、「経営者に礼儀や哲学は必要ない。必要なのは稼ぐ力だ。飛ぶ鳥を落とす勢いの俺には女が4人もいる。君もそうなりたいだろ?」と言った。
また例えば、ある経営者は、「私はビジネス書しか読まない。経営者に文学は不要」と言った。
また例えば、最近セレブとして有名な整形外科の女医は、自分が飼っているミニチュアダックスフンドを「この子は30万円」と購入価格で紹介していた。
また例えば、ある交流会で出会った情報起業家は、よそ見して片手でこちらの名刺を受けとっておきながら、ぬけぬけと30分後にまた名刺交換しに現れた。私が、極力笑顔で、「先ほど、お名刺頂きましたけど・・・」と言うと、ヘラヘラ笑って消えていった。
こんな例は、枚挙に暇がない。
私は特別なスキルもなく、学歴も人並み、経営者としての資質など恥ずかしいほど、ない。今まで、人目を引くようなヒーロイックなことを何ひとつ成し遂げたことがない。他人より少しばかり歴史が好きで、誰も泣かないようなドタバタなアクション映画でもひそかに目を潤ませるくらいが目立った特徴といえば特徴だ(笑)。ちなみに、「アルマゲドン」でも、「ダイハード」でも、ちょっと泣いた。
ただ、昔から、「あれとこれはつながっているんじゃないか」とか、「この現象はあの現象の縮図だな」などと考える癖みたいなものがあった。鍵っ子・一人っ子ならではの夢想癖のたまものだと思う。勉強も嫌いだったので、テレビと歴史小説ばっかり。お陰で歴史は学び・気づきの宝庫だということを知ることができた。
その癖はこうやって社会人として仕事をしはじめてからも続いている。だから、同じく、マーケティングの中に芸術のエッセンスを読みとったりする阪本先生の感性が、大好きだ。先生の著書を読んでいると、
「お前さんの感性は間違っていないよ」
と言われているようで、背中を押される。
2.事業家も分断している。
経営と哲学。仕事と生活。平日と休日。会社と自分。自分と家族。自社と他社。顧客と出入り業者。我が子と他人の子。男と女。私(わたくし)と公(おおやけ)・・・・・。現代人の感性のなかでは、あらゆるものが、複雑に、分断・分裂している。しかし、分断しているわりには、「儲からないのは不況のせいだ」と行政を罵ったりして、自己を擁護するときだけ、物事がつながっているというダブルスタンダードを平気で持ち出す。
起業バブルのこの数年、その傾向がますます強くなっている。ブログが流行しだして、起業家を自称する、ただの「カオナシ」が跋扈している。
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「千と千尋に日本の組織が見える」のなかで、阪本先生は、カオナシを、「インターネットの世界に住みついている、匿名でしか自己主張できない拝金主義者」と定義されている。
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ITでボロ儲けした若手経営者を目標にして、「セレブ万歳」を叫ぶ起業家が増えてきている。お金がすべての基準になりはじめている。
ひと昔前は、事業家(商売人)が「社会全体のモラルの監視者」の役割を背負っていた。今では、その機能がまったく働いていない。
政治家から、公務員、教師、経営者、サラリーマン、主婦、学生、子どもにいたるまで、まるで原始時代のような、「倫理感覚の幼稚化・痴呆化」が進んでいる。
数ヶ月前、この「英雄ブランディング」が世に受け容れられるか試そうと思って、出版企画書を書いて、何人かの出版エージェントに託したことがある。そのうちの一人からこんなコメントがメールで返ってきた。
歴史偉人ではなくて、スーパーサラリーマンを題材にしたら売れると思います。
「やっぱり、いまはセレブとか金持ちに関係するものが当たるんだなぁ」と内心ガッカリしたが、取りあえず、返事を出した。
「私にはスーパーサラリーマンに関する知識があまりありません。スーパーサラリーマンって、どういう定義ですか?」
そしたら、こんな文面のメールが来た。
スーパーサラリーマンとは、「タワー投資顧問」の清原達郎氏のような、会社員でありながら1年で100億も稼ぐような人のことです。えっ、知らないんですか?
この人と面識はない。メールでやりとりするだけの間柄である。
「そんなことも知らないの?」
長年の親友でも、メールではこんな表現はしない。
こういう拙い言葉文化・礼節感覚しか持っていない人が情報起業家の出版支援をしている。言葉というものに精通していなくてはならない出版関係者なのである。そして、毎月たくさんの本が出ている。情報起業家を自称する人が雲霞のごとく生まれ出ている。しかし、その裏でそれ以上の起業家が廃業している。そのことはあまり知られていない。
起業家どころか、起業家を助ける役割を担っている会計事務所がどんどん潰れている。このわずか5年で、1858件の会計事務所が淘汰されている。全体の5.5%である。もちろん、なかには、大きな税理士法人や監査法人に吸収された事務所もあるが、その大半は、後継者不在か顧客喪失による「店じまい」である。
このように、経営を指導する側が経営に失敗している。
「現代は起業家全盛期!」「起業してセレブに!」というのは表面の薄皮でしかない。
その本質は、「起業したものの会計が分からない。人が集まらない。商品が売れない。お金を借りられない。協力者がどんどん離れていく」といった嘆きのオンパレードである。
次回予告:2,3日中に掲載します。
>> 3.「成功」という概念も分断している。
>> 4.「ほんもの」のビジネスは分断しない。
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