セレブ指向者よ!そろそろ目を醒ましたら
どうだ? 『同族経営はなぜ強いのか』より
[5:書籍編]
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書店の書架を上から下へ、右から左へと視線を泳がせていると、突然、名著に出逢うことがある。ランキングに入らず、話題にも昇らず、ひっそりと背表紙をこちらに向けている。
なにがそうさせたのか分からないが、手に取ってみる。目次を観るだけでホンモノか否かが分かる。
仕事柄、出逢う相手のほとんどが「同族経営者」だ。もちろん、欧米企業のような「ファミリービジネス」とは少し異なる。欧米式は、まさに大家族で経営を仕切る。「いとこのビニーが生産管理担当の役員で、姪っ子のドナが経理担当の役員」といったあんばいだ。
日本の場合は、もう少し小規模で、「夫が社長、妻が経理役員、息子が営業役員、その妻が接客指導・・・」という風に、日本らしく、核家族を中心に構成される場合がほとんどである。かく言う私もその例には洩れない。
それゆえ、同族経営の良し悪しについては敏感だし、同じ立場の友人も多い。業種は違えど、悩みを共有できる。だから、クライアントの悩みにも共感する。
「自分だったらどうするか」
という視点で物事を考えることができる。
だから、一般的にも、経営に関する相談は、知り合いの「サラリーマンあがりのお金大好き起業家」よりは、同族経営者かその後継者に相談するほうが安心できるだろうと主張する。
能力はさほどなくても、家族経営の経験知(ウィズダム:智恵)が、その人に備わっているケースがあるからだ。
能力は高くても、そういった経験知を持たない経営者は、短期的な成功を収めても、長期的には失敗するケースが高い。
昨年から何かと話題のIT社長など、その代表である。
人の魅力はその個人の能力・知識・性格・風貌だけで形成されるわけではない。その人が、それまでの人生で関わった人物・事物から、何をどう学んだのかという「ウィズダムの総体」で決まることの方が多い。
三国志に、「男子三日会わざれば刮目すべし」という諺がある。これなどはウィズダムの重要性を如実に語っているだろう。
三日やそこらの短期間で得られる知識はたかが知れている。また、左脳的な蓄積が人間の魅力を増幅させる効果はほとんどない。
しかし、人との出逢いや真剣な自問自答から得られる智恵は、臨界点を持たない右脳へと蓄積される。右脳は人間の魅力を最大限に引き出す力を持っている。「雰囲気がある」「器が大きい」「オーラがある」など、人間の魅力に関する慣用句のほとんどは、科学的にも右脳を研究することで証明できることが明らかになっている。
従って、同族経営者は、比較的に、翻訳能力(相手の立場で考えられる力)に優れている。このブログで頻出する「つながっている感」のことである。「つながっている感はマーケティングの基礎」であるから、自ずと、経営に対する価値観や取り組みかたが本格的・人間的・長期的・保守的になる。セレブになることを目的とする現代的な経営観とは正反対に位置する。
セレブバブルの現代日本にあっては、さほど話題にならないはずだ。しかし、今だからこそ読む価値があるだろう。
ホンモノの経営者になるためには
どういう感性・能力を身につけねばならないか?!
本当の意味での経営者哲学が衰退していくいま、もっと、こういう本が起業家に読まれるべきであると思う。
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