【第1章 憧れることの効用】
(1)憧れると頭が良くなる
>>> ④人間は大脳
[1:理論編]
【第1章 憧れることの効用】
(1)憧れると頭が良くなる
>>> ④人間は大脳
[1:理論編]
その一方、動物界の「頭の良さ」の定義において、人間は著しく劣っている。
人間は、虎やライオンよりも速く走ることができない。鷹や鷲のように空を飛ぶこともできない。鰹やマグロのように海を泳ぐこともできない。基本的に、一旦満腹になると、腹が空くまで食糧は入らないし、道徳心が邪魔をして目の前にある食糧を空腹だからといって勝手に食べることもできない。食いだめも寝だめもできない。子どもを10ヶ月も胎内で育て、出産後も子どもが一人前になるまで面倒を見ないといけない。ハンディキャップを背負っている仲間を見捨てられない。電車の中で傷を負った老人をずっと立たせておくことに良心の呵責を感じる。
その点、動物は容赦がない。不具で生まれてきた仲間を虐めて殺すことがある。群れの秩序と強さを守るために弱者を容赦なく排除する。自分たちの食糧確保と生存本能に反する存在を徹底的に排除する。そこに善悪の判断はない。
人間は、動物から見れば、何とも弱々しい。
では、人間はどのような脳の仕組みで生きているのだろうか?
動物と異なり、人間の脳は、入力端子と出力端子の間に大きな処理装置がついている。明確に言うと、この処理装置は「大脳新皮質」と言われる部分である。チンパンジーなどのわずかな例を除いて、人間以外の動物には大脳は存在しない。人間も元々は他の動物と同じように、食糧を獲得し生存することを唯一の本能として生きていた時期があったらしい。間脳などはそのなごりであると言われている。医学的に分析すれば、枚挙に暇がないが、この大脳新皮質の働きを、動物との差において定義すると、わずか三項目に絞ることができるだろう。
あくまで私見だが、その三つとは、
「言葉」
「火」
「道具」
である。
人間以外の動物と、人間の間に横たわる大きな溝の正体は、この三つである。そして、この三つゆえに、人間は大脳新皮質の働きの中で、最も神秘的で魅力的な働きを自由自在に使うことができるのである。
そう! 「憧れる」という天賦の機能を!!
人間は大脳のおかげで人間らしく生活できるのである。
人間とは大脳そのものである。
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火が人間に時間という感覚をもたらした最大の功労者だと思うが、その代わり、人間は耳の能力が他の動物に比べてきわめて脆弱である。
