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「時間と耳」に関する面白い話

             [日記・コラム・つぶやき]

 前回の理論編「人間と火と」に関して、面白い話を補足。

 私のある知人はいつもストップウォッチを持ち歩いている。電車に乗った際、駅から駅の時間を計るためだという。「鉄道マニアですか?」と尋ねたら、「違う。体内時計の感覚を研ぐためだ」という。

 電車に乗って手持ちぶさたな時、ストップウォッチ片手に、体内時計を鍛える。1分なら1分と定めて、頭の中で、「1,2,3,4,5・・・・57,58,59,60」と数える。体内時計とストップウォッチのズレを認識する。それを繰り返していると、時計を見なくても、ほぼ精確に時間を計ることができるのだという。

 しかし、先日面白いことに気づいたらしい。

 それまで、電車に乗って、4人掛けボックス席の後方に座っていた。つまり、進行方向に向かって座っていた。ある日、進行方向に背を向けて座り、この訓練をやると、数秒だけ体内時計がずれていたという。

 「逆方向に向いているから、心理的な不安感が脈拍に影響して、それが体内時計を狂わしたのかも知れない」と、その知人は分析していたが、果たして?

 例えば、ウォークマンを聴きながら、道を歩いていると事故に遭う可能性が飛躍的に高くなるという話がある。

 人間は「空間」に関する情報は主に視覚から獲得する。大歓声を受けながらでも、フライボールを軽々と受けることができる。聴覚情報に影響されず、ものの距離感を計ることができるのである。

 しかし、音楽を聞いていて自分の後方から近づいてくる車の音が聞こえない時、急に体のそばを通る車に驚くことがある。

 聴覚は、空間を認識する上ではきわめて頼りないが、時間を認識する能力に優れている。後方の車が発する音から、距離を知る。つまり、あと何秒で車が自分を追い越すかを察知するのである。

 だから、寝不足が続き体調不良になると急性難聴になる人が多い。寝不足ということは体内時計が狂っているということ。体内時計が狂うと、大脳の聴覚野に変調を来す。つまり、聞こえなくなるのである。

 また、静寂の中に身を置いていると、シーンとかキーンという音が微かに聞こえるようになる。あれも、時間感覚の変化がもたらす幻聴であると言われている。

 知人の電車内での実験もそのことに関係あるのではないかと思う。

 進行方向に背を向けることで、聴覚野に届く音が普段とは異なる。その差が体内時計を狂わすのではないか? もちろん、勝手な私見であるが・・・。

 私も、我を忘れて何かに打ち込んでいる時、つまり、時間の経過を忘れている時、たいてい、妻の話を聞いていない。後でこっぴどく叱られる(笑)。皆さんも経験あるだろう。

ear 火が人間に時間という感覚をもたらした最大の功労者だと思うが、その代わり、人間は耳の能力が他の動物に比べてきわめて脆弱である。

 他の動物を狩り尽くさないように、人間に施された欠陥なのかも知れない。

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