歴史から学ぶ[プライベートブランド]の作り方

英雄・偉人のブランディング秘策

例えば、坂本龍馬のような事業家になれる方法?!


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【第1章 憧れることの効用】
(1)憧れると頭が良くなる
 >>> ⑤人間と火と
                   [1:理論編]

flame 英雄ブランディングを実践するにあたって最もベーシックな概念は、「憧れる」ということである。「憧れる」など誰でも普段からやっていると思いがちだが、実はほとんどの人が「憧れる」という動詞の正しい意味を理解していないか、もしくは理解が不充分なために、「誰でも成りたい自分になれる」という特権を活かせないでいる。日常生活やビジネスにおける、ほとんどの不幸は結局、「憧れる」ことへの誤解から来ている、というのが私の持論だ。これを糺(ただ)しさえすれば、ほとんどの人が、ほとんどのケースにおいて、幸福な成功体験を積み重ねられるはずだ、と私は確信している。この理論編は、それを解き明かそうという試みである。

 さて、動物と人間の決定的な違いは「憧れる」という本能の有無である。この人間特有の本能は、なにゆえ、人間にしか授けられていないのか? それは動物との違いを仔細に見ていけば分かるだろう。

 そういうつもりで、これまで、動物と人間の「脳の差」を考えてみた。前項で述べたように、人間の大脳新皮質がそのカギを握っていると考えられる。そして、大脳の様々な機能を大雑把に大別すると、「言葉」「火」「道具」の三つになることが導き出せる。
但し、この三つは文字通りの意味ではない。あくまで、人間特有の精神活動・身体活動のことを、この三つが象徴しているに過ぎない。

 さて、この項では、「火」について論じたい。一つ目の「言葉」は三つの中で最も深淵なテーマであるから、一番最後にまわすことにしよう。

 火-

 火は人間に何をもたらしたのか?

 おそらく、最初、人間の祖先も火を恐れただろう。山の頂から吹き出る炎を見て、または枯れ葉の摩擦から生じた山火事を見て、生命の危機を感じ取ったはずである。しかし、一方で、火の利用法をも同時に感じ取っただろう。

 その熱によって、形あるものに変形をもたらし、硬化をもたらし、終焉をもたらすことができる、この強力な武器。その明るさによって、夜の暗闇から恐怖を取り除いてくれる、この心強い友人。その殺菌力で、生ものの腐蝕を防いでくれる、このありがたい贈りもの。

 火の力を人間がコントロールすることができれば、それはあらゆる生命の危険から身を守ることになるのである。そして、実際、人間の祖先は、火を創造し、維持し、利用し、管理する能力を身につけた。他の動物から襲撃される危険性を防ぐと同時に、他の動物を捕獲して食することができる万物の霊長としての特権を得たと言える。

 それだけではない。他の動物よりも強力な武器を得たというアドバンテージだけなら、まだ相対的に過ぎない。火を手にした人間とて、巨象の足にはかなわない。

 火によって、人間が得た最大の利点。他の動物を圧倒する絶対的な条件。

 それは、「時間」である。

 個体として、または種族集団としての寿命と言い換えても良いだろう。

 確保した食糧に火を通すことで、毒性を消し、寄生虫を殺し、保存性を高めることに成功した。ということは、集団全体の生存力を高めることになったわけである。これはすなわち、その集団の中に機能的役割と階級を作り出す要因にもなっただろう。リーダーに統率され、各種の役割を果たす人間の集まり。つまり、「組織」の原初形態が生まれたであろうことが想像できる。

 その証拠に、今でも権威あるもののそばには必ず火がある。祭壇や塔、建物など。火は、「権威」の最も象徴的なモチーフである。

 また、食糧保存力の向上によって寿命が伸びたという事以外に、時間の利点はある。
例えば、狩猟そのものの時間的延長をもたらしたはずである。それまでは、わずかな食糧を携えて狩猟に出て行ったはずだ。しかし、保存食をたくさん所持できるということは、狩猟時間の拡張をもたらすわけである。

 そして、さらに火によって加工できるのは食糧だけではないことに気づき始めたはずだ。食器、武器、住居など。あらゆるものが火の力によって、時間の制約から抜け出せることに気づいたのである。また、その延長線上に、「道具」という二つ目の特権を人間が得ることにつながるわけである。

 このように考えていくと、火によって人間が得られたものは、他の動物からの護身や、他の動物への攻撃、その結果としての食糧だけではないことがわかる。

 我々が普段目にする動物が、明らかに意識していないと思えるもの。そう、時間という概念を人間は火によって手にしたのである。

 そして、さらに考えてみる。時間は人間に何をもたらしたか?

 その答えは次項の「人間と道具と」でより明確になるが、先に答えを提示しておこう。

 時間によって得られる副次的な利点。

 それは、空間である。

 昨日よりたくさんの食糧を持って狩猟にでかけた人間の祖先は、その食糧的余裕によって、時間的余裕を手にして、さらに狩猟地域を拡張することができたはずである。

 狩猟はもちろんのこと、生活のあらゆる場面において、時間的な制約から解き放たれた結果、空間的拡張という財産を得ることができたと考えて良いだろう。

 賢明な読者ならすでにお気づきのことだと思うが、「時間と空間」の特権を人間が得ることができたのは、もちろん、火だけのおかげではない。火と、道具と、言葉の三つのおかげである。基本的には、この三つは切り離して考えられない。

 しかし、特に、火によって時間を得られたと強調しておきたい。

 人間は「時間」を大脳の聴覚野で捉えるという。

 火、時間、耳。

 人間の特徴を象徴的に表す、この三つの関係性は、この英雄ブランディングにおいて、これからも頻出するエッセンスなので、よくご記憶下されたい。

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