【第1章 憧れることの効用】
(1)憧れると頭が良くなる
>>> 9.「頭が良い」に関する真説
[1:理論編]
【第1章 憧れることの効用】
(1)憧れると頭が良くなる
>>> 9.「頭が良い」に関する真説
[1:理論編]
さて、「頭が良い人」という概念も様々な見解が分かれるところである。古今、才能論は尽きない。しかし、これまで述べた人間観を土台にすれば、「頭が良い」ということがどういうことか容易に導き出せる。
ここで再び最初のキーワードが重要になってくることが分かるのである。
「1.交差点の生きもの、人間。」の最後で、このように定義した。
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このことからも分かるように、人間は、肉体だけでは人間たり得ないのである。過去と未来のはざま、人と人との間で生活することで、はじめて人間として機能するのである。人間は、時間の縦軸、社会の横軸の交差点の真ん中に立って生活している。
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人間は、「社会空間」と「時の流れ」が交差する「現在」という点を生きている。そして、その点の上で「関係」を結ぶ。このことは、人間の脳の特異性からも説明できることは、前項で示した図でも明らかである。
なぜ、人間は動物に比べて、第六感が鈍いのか? それは、助け合うことで互いを守ることができるためである。なぜ道具を作ることができるのか? それは、仲間(社会)を助けることで自己の保全を図ることができることを知っているからだ。なぜ言葉を生み出し、自由に操ることができるのか? それは、より広い社会とより濃厚な関係性を築くことが自己防衛本能に叶っていることを知っているからだ。
以上のことから、人間としての「頭の良さ」は以下のように定義づけられるのではないか?
●「人を助ける」ことが生きることの中心にあること
社会奉仕という言葉や「世のため人のため」という標語がただの記号ではなく、その人の人生観の基調色となっている。
●社会に対する関心が強いこと
アスリートやレーサーが持っている空間認識能力を身体感覚的な能力だとすれば、ここでいう「社会への関心」は、社会感覚的な空間認識能力だと言える。
●時間に対する関心が強いこと
ただの懐古主義ではない「歴史への探求心」と、歴史から得られる知性・感性を未来設計へと結実させようとする意志のこと。『論語』の温故知新のことである。
●人間に対する関心が強いこと
上記の「人助け精神」「空間認識能力」「時間への意志」は、具体的には人間への関心として表現される。働くこと、話すこと、書くことを中心とする筋肉運動と概念生産は、人間への関心範囲に左右される。
ノブレス・オブリージュという言葉は、「恵まれた立場の人はそれ相応の社会的義務を負うべきという考え方」と一般的に解釈されるが、私はこの四大条件こそがノブレス・オブリージュの本旨であると思う。
また、この四大条件から人間の様々な能力を俯瞰的に眺めてみれば、一般的な才能論がいかに底の浅いものか分かる。
本をたくさん読んでいること、事務処理能力に長けていること、言葉を操る技術に長けていること、ボキャブラリが多いこと、決断力に富んでいること・・・。
優れた知性・感性の定義は様々だが、それらはすべて、「頭の良さ」の構成要件の一つではあるが、本質そのものではない。
すべて上記の四条件へと集約されるのでなければ、ただの技能的特徴に過ぎない。
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