(2) 英雄は設計する
坂本竜馬の場合 VOL.2
[2:実践編]
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その一方、龍馬は価値設計から始めました。
勤王イズムに乗せられた志士たちが、外国人への嫌悪感や、外国の圧力に屈した政府への反感からベンチャー企業を興したのとは大きく異なり、龍馬は以下のように価値設計をしました。
「お隣の中国政府は欧米列強の言いなりになって、国内の革命家集団を殺すために武器弾薬を外国から購入した。その代金として治外法権や不平等な条約を結ばされて、国を盗られようとしている。日本はそうならないように、お殿様も下級武士も商人も百姓も一枚岩になって国を守るのだ、という意識統一をすべきだ。しかし、それには身分制度が邪魔だ。身分制度を取っ払うべきだ。もし、その邪魔をするなら幕府は倒すべきだ。また、幕府を倒すにあたっては、本来憎むべき敵である外国から文明社会の作り方を教えてもらうべきだ。だから、外国と互角に渡り合える交易を行う必要がある。だから、オレがそれをやる。まずは船を手に入れなくては、人材も探さなくては、英語も学ばなくては、薩長に仲良くなってもらわなければ、勝海舟先生あたりから可愛がられるようにならなくては・・・」
こうやって事業のアクションプランを決めていったのです。
龍馬が設立した亀山社中(後の海援隊)には、交易・海運・操船技術の指導・教育啓蒙・出版という事業コンテンツがありました。
一方、勤王志士たちは「外国人憎し・政府弱し」の薄っぺらい価値観で企業を設立しました。
だから、倒幕ストーリーが描けないし、倒幕後の国家設計の戦略がない。単純に武力で圧倒するしかないと思っている。
結局、反対派の重鎮を暗殺して敵方の数を減らすという発想しか思いつかなかったのです。
勤王ベンチャーには商品やコンテンツがありませんでした。
商品やコンテンツの役割は、「設計した価値の伝達・具現化」です。
提案すべき価値を設計していないのですから、商品が無いのは当たり前なのです。
実のない虚業の末路は古今東西、共通しています。短期的な成功と、その後のとてつもない転落です。
土佐勤王党は武市半平太と主要幹部の投獄・刑死によって消滅しました。土佐藩だけではありません。様々な藩で勤王党は弾圧されて壊滅しました。まるで、10数年前の土地バブル、数年前のITバブルと同じです。勤王バブルがはじけたのです。
しかし、その後にはホンモノが残ります。
龍馬は、昔の仲間たちが虚業で得たきらびやかな成功の陰で、コツコツと価値設計を行いました。
そしてわずか5年足らずで、その価値を伝達するための商品づくりを行い、人材・資金
を確保して事業を興しました。
彼自身は非業の死を遂げましたが、彼が生み出した価値はその後の日本を変えました。
現金を掴むためだけなら虚業で充分です。(誰にも尊敬されない寂しい老後を送ることになりますが・・・)
しかし、現金をつかみ社会革新を成し遂げて後世に感謝されるような事業を立ち上げたいのなら、何はともあれ、まずは価値設計が必要です。
英雄とは、「本質的で実質的な価値を設計できる人」を指すのではないでしょうか?
竜馬の人生はそのことを教えてくれます。
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